大徳寺の開山大燈国師(宗峰妙超、1282-1337)は大応国師(南浦紹明、1235-1308)の法嗣であるが、その大応国師の師匠は南宋末の傑僧虚堂智愚(1185-1269)、「破れ虚堂」という名墨蹟でも知られる虚堂和尚である。

この虚堂は禅僧として卓絶していたばかりでなく、詩文の才も抜群で、禅旨を含蓄し禅者の境涯を反映した詩、大徳寺の開山大燈国師(宗峰妙超、1282-いわゆる偈頌を数多く作り、しかもそれには絶唱というべきものが多い。

その虚堂の偈頌の一つに「聴雪」と題した、

寒夜無風竹有声   寒夜(かんや)風なく 竹に声有あり

疎々密々透松櫺   疎々(そそ)密々(みつみつ) 松櫺(しょうれい)を透とおる

耳聞不似心聞好   耳聞(にもん)は似しかず 心聞(しんもん)の好(よ)きに

歇却燈前半巻経   歇却(けっきゃく)す 燈前(とうぜん)半巻(はんかん)の経

というのがある。

「耳聞は似かず 心聞の好きに」あるいは「耳聞は心聞の好きに似かず」という七字一行は、これから出ているのであろう。
(芳賀洞然著「一行物―耳聞不似心聞好」より)


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